葬儀×AI:プロの価値を高めるAI活用術~みんなのAI実践塾月例会レポート~  2025年2月19日19時

皆さん、こんにちは!AI初心者・男女コミュニケーション心理士®︎の小室友里です。

「みんなのAI実践塾」月例会が始まりました。今回のテーマは「葬儀×AI:プロフェッショナルの価値を高めるAIの活用術」。普段あまり接点のない葬儀業界とAIの掛け合わせに、正直最初は「どんな話になるのかな?」と思っていました。でも、聞いていくうちに「これは本当に面白い!」と引き込まれていきました。

今回は、葬儀業界でAIを活用する先駆者・小野寺秀友さんのお話と、AI実践塾でのゲーミフィケーションの取り組みについて、レポートします。AIの活用法に悩んでいる方、特に「人のサポートをする仕事」をされている方に、ぜひ読んでいただきたい内容です!

まずは松山塾長からの挨拶:AIの波に乗るために

月例会は松山塾長(通称ザロさん)の挨拶から始まりました。

「この津波が今まさに押し寄せてきます。実は1年前もこんな絵を作ってましたが、1年後には来るよって言って、今まさに来てますよね」

ザロさんはスライドで津波の絵を示しながら、AIという大きな変化の波が押し寄せてきていることを説明します。でも興味深いのは、人々の反応。

「びっくりするぐらい、みんなそんなに日常を変えようとしない。こんだけすごいインパクトがあるものなのに、気づいてないというか。これの話でいくと、日常の非日常があまりにも目の前にいると、対処できないんですね」

さらに最近話題の「ディープリサーチ」について紹介がありました。過去の事例にも最新の事例にも強い点が魅力で、驚くほど詳細な資料や書籍レベルの内容まで自動生成できるそうです。

「波がいっぱい来てる時に、波の乗り方というのがまだまだわかんないわけですね。波が来るぞ、でかい波だな、どうもこのツール使ったらいいらしい、でもどうやって乗るんだろう…いち早く乗り方を勉強する、やってみる、実践してみる。これがこの塾の大きな特徴です」

ザロさんの話を聞きながら、私もこの波に乗って何か新しいことができないかとワクワクしました。男女コミュニケーションの研修をしている身として、AIを活用した新しい形の研修やコンテンツが作れるかもしれません。

葬儀業界×AI:小野寺秀友さんの講演

いよいよメインゲストの小野寺秀友さん(通称オデラさん)の講演が始まりました。オデラさんはエピローグコンサルティング株式会社代表取締役、マンダラエンディングノート普及協会の代表をされています。

「葬儀業界ってどんな業界かって言うとですね、めんどくさい仕事が嫌いな業界です。とにかくめどくさいことが嫌いな業界です」

オデラさんの言葉に思わず笑ってしまいました。続いて葬儀業界の3つの特徴を挙げられました:

  1. めんどくさい事務処理が嫌い
  2. 難しいことが嫌い(未だにファックス業界!)
  3. 「俺の背中を見て育て」式の教育(高年齢化が進んでいる)

葬儀は担当者一人で全てを仕切り、人が亡くなってから3日間ほどで全て仕上げる短期集中型の仕事です。結婚式なら半年から1年かけて準備するイベントを、同じような規模でたった3日で行うのです。

「ブライダルって大体半年から1年後の打ち合わせを徐々にこうやっていくんですけど、それと全く同じような金額、同じような時間のイベントをたった3日間で仕上げなくちゃいけない。それが葬儀業界なんです」

この業界の課題と、AIがもたらす可能性について、オデラさんは具体的に示してくれました:

葬儀業界の課題

  • お客様一人一人の要望に応える必要がある
  • スタッフの経験値によって提案の質に差が生じる
  • 業務効率化の必要性が高まっている

AIが生み出す新たな可能性

  • 個人に寄り添った葬儀の提案
  • 業務効率と品質の向上
  • 基本情報の自動文書化、見積もり作成の効率化
  • スタッフ教育の充実

オデラさんが20年前に勤めていた葬儀社では、故人の個性に合わせた「サプライズ」の要素を取り入れる独自のスタイルがあったそうです。思い出コーナーを作ったり、故人の好きだったものを演出に取り入れたり。でも、それを準備するスタッフの負担は相当なものでした。

「打ち合わせが例えば夜7時に帰ってきて、それから準備して、プレゼンの資料を用意して、プレゼンテーションの準備をして、みんなに提案をして…大体会社に戻って夜7時になって家に帰るのが夜中の2時とか、そういう世界だったんです」

ここで私はメモを取りながら「時間と空間の価値を作るのがお仕事なんだな」と気づきました。故人を偲ぶ時間と空間をデザインすることが、葬儀のプロの仕事。それを今までは個々のスタッフの経験と勘に頼っていたものを、AIを使うことでどう変えられるのか?

実証実験:AIを使った葬儀提案

オデラさんは実際にAIを使って葬儀提案を行う実証実験を行われたそうです。その具体的な方法が興味深かったです。

まず「マンダラエンディングノート」という、マンダラチャートを使ったヒアリングツールがあります。このノートで故人や遺族に質問をして、その回答をAIに入力することで、個別化された葬儀提案が自動生成されるのです。

たとえば「最高に嬉しかったことは何ですか?」という質問に「長男が生まれたこと。お腹がすごく痛かったけど出てきた時には感動した」という回答があったとします。このような8つの質問への回答をAIに入力すると、「喜びと感謝で彩る○○さんの物語」というタイトルの提案書が自動生成されます。

「音楽で彩る人生」「思い出コーナーの展示」「参加者の思い出メッセージボード」「温かみのある食事」「心のこもったお土産」など、具体的なプランが自動で提案されるのです。

「これ実はここだけを見ると、もう本当に10年選手20年選手の人じゃないと出てこないような言葉が、AIだと出てくるんですよね」

このシステムの素晴らしいところは、遺族自身の言葉をもとに提案を作ることで、「葬儀者の言われるがままに葬儀をしました」という状況を防げること。自分たちの言葉から生まれた提案だからこそ、納得感や満足度が高まるのです。

ここで私は「AIって人間の仕事を奪うっていうイメージがあったけど、むしろ人間らしい提案をサポートしてくれるツールなんだ」と感じました。特に葬儀のような感情が絡む場面では、共感や寄り添いがとても大切。AIはその「人間らしさ」を引き出すサポーターになるんですね。

葬儀後フォローもAIで効率化

さらにオデラさんは、葬儀後のフォローアップにもAIを活用されています。コンサルタントとして葬儀社に出向き、葬儀後の遺族へのヒアリング内容を分析し、お墓や仏壇の提案などにつなげる仕事をされているそうです。

「私のコンサルティング会社ではもうこれから虐ネタでコンサルいらないって言ってて、コンサルこれから世の中不要ですって言ってる。私の役割はそもそもそれを検証するのを役割にしていく」

と語るオデラさんは、自身のノウハウをAIに学習させたチャットボットを作成。葬儀担当者が遺族とのヒアリング内容を入力するだけで、次の提案に必要な診断書が自動で作成されるシステムを開発されました。

「葬儀者は面倒くさいこと嫌いなので、もう20人分とかまとめて送ってくるんですけど、なんとそれも前日に送ってきても翌日のコンサルに間に合うように作れる。これがAIの素晴らしいところ」

私はこの話を聞いて思わず「すごい!」と声に出してしまいました。AIを使うことで、今まで一人のコンサルタントが何日もかけてやっていた作業が、一晩で完了してしまうのです。しかも質が落ちるどころか、むしろ向上するというのですから驚きです。

AIとプロフェッショナルの共存

オデラさんの講演の核心は「AIとプロフェッショナルの共存」でした。

「私が考えているこのAIとの共存は、怖い先輩に質問しなくても良くなるわけですね。もうこんなことを聞いたら怒られるんじゃないかとか、きっとは僕はこう思ってるけど、こういう風に言った方が先輩喜んでくれるだろうっていうことがなくなるわけですね。で結果、その離職率が少なくなる」

葬儀業界では適応障害になって離職する若手スタッフが多いそうです。「俺は先輩のようになれない」と思い悩んでしまうからだとか。でもAIを活用することで、経験の浅いスタッフでも質の高い提案ができるようになれば、そうした悩みは軽減されるはずです。

オデラさんは現在、以下の3つの方向でAI活用を進めているそうです:

  1. 提案書の作成支援システム:個別化された葬儀提案の自動作成
  2. スタッフ教育プログラム開発:会社ごとの教育プログラムをAIに反映し、一貫した教育を提供
  3. カスタマーサービスの拡充:新人スタッフでもヒアリングさえできれば、AIがサポート

「AI導入は、私たちの専門性を強化するツールです。プロとしての本質的な価値がお客様に伝わり、AIとの協業によってより充実することで、本当の意味でご遺族に寄り添うというあやふやな定義を解決できるんじゃないか」

この言葉に、私は深く納得しました。AIは人間の仕事を奪うのではなく、人間がより「人間らしく」仕事をするためのサポートツールなんですね。

質疑応答:さらに深まる葬儀×AIの可能性

講演後の質疑応答も興味深いものでした。参加者から「提案書ができてからどう使うんですか?」という質問があり、オデラさんは現代の葬儀事情について教えてくれました。

「実は葬儀って、あの人がなくなってから連絡が来る「待ってる葬儀社」だったんですよ。私が20年前やった時も8、9割型は電話が鳴ったら『なくなりました、お葬儀お願いします』という電話だったのが、今逆転して7、8割型が事前相談なんです」

時代は変わり、事前に自分の葬儀について考える人が増えているのだそうです。そこでAIを活用した提案書は、事前相談の際にも活用され、より個別化された提案につながるとのこと。

また、「実際にお葬式当日に反映させるというのはどういうことですか?」という質問には、故人の思い出や好きだったものを演出に取り入れる具体例を教えてくれました。

「浅草でお祭り好きの人だったら、浅草のお祭りの雰囲気を全部作ってみたり。あとは食べることが好きでキャンプ好きな人がいて、お借りした会場で焼肉焼いちゃったりとか…あの会場はもう出入り禁止になりましたけど(笑)」

参加者からは「こんなこともやっている葬儀社があるなんて知らなかった」という声も上がり、葬儀という伝統的な業界でも、個性化や多様化が進んでいることがわかりました。

サンクスアップ×AI:人事評価にゲーミフィケーションを

後半は、AI実践塾でのAI活用事例として、サンクスアップの吉井さん(通称”専務”)からの実践報告がありました。

吉井さんはAI実践塾の中で、企業からの様々な相談に対応し、AIを活用したソリューションを提供しているそうです。

「基本的にチャット欄でも言語化するのが難しいっていうのがあるんですけども、多分私のその経営者の時の能力から、それを言語化していくっていうのにたけているというところが私の売りなんです」

特に印象的だったのは、サンクスアップで開発中の人事評価システムです。このシステムでは、従業員の日々の活動をAIが分析し、能力値として可視化してくれます。まるでRPGゲームのように、自分のスキルが数値化されて表示されるのです!

「ゲーミフィケーションを入れるとこんな形で表示できます。頑張り屋さんのコータという形で、キャラID、ここに能力値が現れて、レーダーチャートでどんな風に分布されているのかが一目でわかる」

私はこのシステムを見て「これは面白い!」と思いました。人事評価って、どうしても主観的になりがちですが、日々の活動データをAIが分析することで、より客観的な評価ができるようになります。しかも、ゲーム要素があることで、従業員自身がモチベーションを高く持って成長していけるんですね。

松山塾長が言っていた「ドラクエみたいに、あと何ポイントで次のレベル行くぞ」というゴール設定や、「カリスマ風味」といった称号の獲得など、ゲーム要素を取り入れることで、日々の仕事がもっと楽しくなりそうです。

「面白いゲームに不可欠な4つの要素」として、以下が紹介されました:

  1. ゴール(目標)
  2. ルール(システム)
  3. フィードバック(反応)
  4. 自主性(参加者の意志)

これらの要素を人事評価に取り入れることで、従業員のモチベーションが上がり、自発的な成長につながるというわけです。

AI実践塾から学んだこと

今回の月例会を通じて、私は多くのことを学びました。特に印象に残ったのは以下の3点です:

  1. AIは人間の仕事を奪うのではなく、人間らしい仕事をサポートするもの
    葬儀提案でも人事評価でも、AIは人間の感情や思いを形にする助けになっています。
  2. 業界の常識を超えるイノベーションがAIで可能に
    「俺の背中を見て育て」式の教育から脱却し、若手でも質の高い仕事ができる環境作りが可能に。
  3. データの蓄積とAIの活用で、これまで見えなかったものが見える
    人事評価のような主観的な領域でも、データを活用することで新たな視点が生まれます。

私自身、男女コミュニケーション心理士®︎として研修をしていますが、AIを使えば参加者からの質問に対して、より充実した回答ができるようになるかもしれません。また、研修後のフォローアップもAIを活用すれば、より個別化されたアドバイスができるでしょう。

AIは使い方次第で、プロフェッショナルの価値を高めてくれるツールなんですね。これからもAI実践塾で学びながら、自分の仕事にも取り入れていきたいと思います。

次回の月例会は3月20日(木)春分の日、ゲーミフィケーションとAIを掛け合わせた実践についてのお話だそうです。こちらも楽しみですね!

みなさんも、自分の仕事とAIの掛け合わせについて、考えてみてはいかがでしょうか?

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